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抗生物質の薬剤耐性菌が増えています。
細菌に対する治療薬の抗生物質の乱用により、
薬剤耐性菌が問題になっています。
この薬剤耐性菌により亡くなる方が日本だけでなく世界的に増えています。
薬剤耐性菌を減らすためには
抗生物質に対する正しい知識を得ることと
無駄な抗生物質投与を避けることです。
抗生物質は細菌にしか効果がなく、
90%の風邪の原因となっているウイルスには効果がありません。
また医師の診断のもと処方された抗生剤を自分の判断で中止してしまうのも問題です。
必要ではないときは抗生物質を「もらわない」、
もらった抗生物質はきちんと「飲みきる」、
そしてもらった抗生物質は人に「あげない」ことが大切です。
ニキビの患者さんの中には軽症でも抗生物質を欲しがる方がいます。
私はニキビの重症の方には一時的に処方することはありますが、
軽症で必要のない時はきちんと説明した上で抗生物質の処方はしません。
昔は皮膚科的な小手術でも抗生物質を3日間など処方しているときもありましたが、
現在は基本的にいたしません。
また、薬剤耐性は、人だけの問題ではなく、動物や農業でも起きています。
日本全体の抗菌薬の使用量(2011年)のうち58%が、動物用医薬品・飼料添加物と動物向けに使われています。
家畜に抗菌薬を使い過ぎると、消化管内や皮膚などに薬剤耐性菌を発生・保持し、糞尿と一緒にそれらを排出して周囲の環境に薬剤耐性菌を広めてしまいます。
また、ペットとして飼われている動物から人に薬剤耐性菌がうつることもあります。
抗菌薬は農業分野でも使われていて、薬剤耐性菌が付着した食肉や農作物を食べることで、人に薬剤耐性菌が広がる可能性もあります。
そのため、人だけではなく、動物や環境などの衛生管理に携わる人々とも連携して薬剤耐性対策を進めるよる取り組みを、「ワンヘルス・アプローチ」と呼んでいます。
何も対策をしなかった場合、世界で2050年には薬剤耐性(AMR)に起因する死亡者数の推定(オニールレポート)は1000万人(2013年は70万人)にのぼるとされています。
2015年には世界保健機関(WHO)で薬剤耐性に対する国際行動計画を採択し、加盟国に対して自国の対策を策定するようにしています。
各国の協力と、個人個人の協力が必要です。
皆様も抗生物質に対する正しい知識を持って使用していきましょう。
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