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Netflix「ダウンタイム」を観て―美しくなることは、人を幸せにするのか
シルバーウィークに、今話題のNetflixシリーズ「ダウンタイム」を一気に観ました。
美容整形業界を舞台にした全8話のドラマで、松岡茉優さん演じる「医療で命を救う」ことを信条とする医師と、仲里依紗さん演じる「美で人を救う」ことを信じるカリスマ美容外科医。二人のまったく異なる価値観を軸に、美容医療の光と闇が描かれています。
私自身、長く美容医療に携わっているので、とても興味深く観ました。
もちろんドラマなので、かなり刺激的に描かれている部分もあります。
でも、観ながら何度も考えさせられたのが、
「美しくなりたいという気持ちは、どこまで人を幸せにするのだろう?」
ということでした。
目次
「美しくなりたい」は悪いこと?
私は、美しくなりたいと思うこと自体は決して悪いことではないと思っています。
シミが薄くなって鏡を見るのが楽しくなったり、長年気になっていたコンプレックスが改善して自信が持てたり。
美容医療によって、その方の気持ちが前向きになる場面を、私自身たくさん見てきました。
一方で、
「もっと若く」
「もっときれいに」
「ここを直したら、次はここ」
と、美しさを追い求めることに終わりがなくなってしまうこともあります。
今はSNSを開けば、加工された美しい顔や身体を毎日のように目にします。
「自分はまだ足りない」と感じやすい時代なのかもしれません。
美容医療だからこそ「しない」という選択もある
ドラマの中では、整形依存、キッズ整形、医療安全や美容医療に携わる医師のあり方など、現在の美容医療が抱えるさまざまな問題も描かれています。
私が改めて感じたのは、美容医療は患者さんの希望をすべて叶えることが正解ではないということです。
医学的に必要なのか。
その治療によって本当にその方が幸せになれるのか。
リスクに見合う治療なのか。
時には、「今はしない方がいいと思います」とお伝えすることも、医師の役割だと思っています。
「ダウンタイム」というタイトルも興味深い
美容医療でいうダウンタイムとは、施術後の腫れや内出血などが落ち着くまでの回復期間のことです。
このドラマでは、それを単なる治療後の期間ではなく、「サナギが蝶になるまでの大事な時間」というモチーフとして使っています。
とても印象に残りました。
人は誰でも変わりたいと思うことがあります。
でも、本当に大切なのは「別の誰かになること」ではなく、自分自身を嫌いにならずに、今の自分を少し好きになれることなのではないでしょうか。
私が考える美容医療
私は「若返る」という言葉より、Attractive Aging ― 魅力的に年齢を重ねることを大切にしています。
シワが一本もないことが美しいわけでも、20代の顔に戻ることが正解でもありません。
年齢とともに変化する自分を受け入れながら、必要なところには少し医療の力を借りる。
そして、治療を受けたことで鏡を見るのが少し楽しくなったり、自信を持って人に会えたりする。
美容医療は、「自分ではない誰かになるため」ではなく、「自分らしく生きるため」にあってほしい。
「ダウンタイム」を観ながら、そんなことを改めて考えたシルバーウィークでした。
美容医療に興味のある方はもちろん、「美しくなるって何だろう?」と一度でも考えたことのある方には、とても興味深い作品だと思います。
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