円形脱毛症
円形脱毛症とは
円形脱毛症は自己免疫異常によると考えられている後天性脱毛症で、先行病変なく毛髪が存在するあらゆる部位に突然、境界明瞭な直径2〜3cmの円形あるいは類円形の脱毛斑が生じることです。
病因
円形脱毛症はアトピー素因が関与する自己免疫異常によると考えられており、橋本病などの甲状腺疾患、尋常性白班、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、重症筋無力症、潰瘍性大腸炎、悪性貧血などさまざまな自己免疫疾患の合併例が報告されています。
症状
突然コインのような円形(または楕円形)をした脱毛が起こるのが大きな特徴です。また脱毛部周辺の毛髪を引っ張ると、ほとんど痛みもなく簡単に抜けてしまいます。
円形脱毛症の主な症状としては、次のようなものが挙げられます。
単発型
円形脱毛症のなかで最も多く見られる症状で、豆粒大から500円硬貨ほどの比較的小さな脱毛が1か所~数か所にできます。
多発型
脱毛部が2カ所以上あり、何度も繰り返す症状です。
蛇行型
後頭部や側頭部などの髪の生え際に、帯状に繋がって脱毛します。
全頭型
多発型が頭部全体に広がり、ほとんどの髪の毛が抜け落ちてしまう症状です。
汎発型
頭髪だけでなく、まゆ毛やまつ毛、ワキ毛など全身の毛が抜け落ちてしまう重い症状です。
治療
円形脱毛症は脱毛の範囲が狭い場合や数が少ない場合は自然に治ることが多く、本人が気づかない間に治っていることもあります。
しかし広範囲に脱毛していたり、症状が長期間続いていたり、急に症状がひどくなったりした場合は適切な治療が必要です。
治療には、症状に合わせ次の方法を組み合わせることもあります。
- 血管拡張効果のある塗り薬、抗アレルギー作用や血流を促進する作用のある飲み薬の服用
- 炎症を抑えるステロイド薬の患部への外用や注射、難治例には内服
- 患部に液体窒素を当てる凍結療法
- かぶれを起こしやすい物質を塗り、人工的に皮膚に軽い炎症を起こさせる局所免疫療法
- 免疫状態の改善のため、医療用の紫外線を当てる光線療法
日常生活における対処法としては、頭皮マッサージや栄養バランスの良い食事、適度な運動で頭皮の血行を促進し、発毛を促すように毛根を刺激しましょう。軽度の円形脱毛症は基本的には、このような心掛けで自然に治ることが多いのが特徴です。
注意点
円形脱毛症は再発しやすいものです。また、症状によっては長期にわたって治療が必要になります。
若い女性の間で円形脱毛症に悩む方も多くいますが、1人で悩んでストレスを溜め込まないように気をつけ、早めに専門医に相談するようにしましょう。
脱毛が起こっている部分の毛包は休止していても永久破壊しているわけではないので、諦めないことが大切です。