膿痂疹(トビヒ)
膿痂疹(トビヒ)とは
細菌が皮膚に感染することで発症し、人にうつる病気です。 掻きむしった手を介して、水ぶくれ(水疱)があっという間に全身へ広がる様子が、火事の火の粉が飛び火することに似ているため、「とびひ」と呼ばれています。
発生年齢は0〜6歳が多く、特に2〜3歳が最多です。
発生時期は高温多湿の7〜9月に最も多くなります。
病因
虫刺され、湿疹病変、ひっかき傷などにブドウ球菌、またはレンサ球菌が感染して発症します。
ほとんどがブドウ球菌によるものですが、最近ではメケシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の比率が増加してきています。
ブドウ球菌がつくる毒素が、皮ふの組織を破壊してしまうことで、水ぶくれができてしまうといわれています。
症状
水疱、びらんを特徴とする水疱性膿痂疹と厚い痂皮性膿痂疹に分けられます。
水疱性膿痂疹(一般的トビヒ)
乳幼児、小児に好発し夏季に多く生じます。黄色ブドウ球菌が原口です。
初め小水疱を生じ、拡大して大豆大、くるみ大となります。
水疱は薄く、容易に破れてびらん面となり痂皮を形成しますが、水疱内容の接触により次々と伝染します。
ここの病巣は約1週間で痂皮が脱落して治癒しますが、全経過は約2〜3週間です。
痂皮性膿痂疹
年齢、季節を問わず出現します。比膿性連鎖球菌が原因です。
初め小水疱を生じ、徐々に膿疱となります。
その後破れてびらん面を形成しつつ拡大し、黄褐色の厚い痂皮を生じます。
皮疹の周辺は炎症症状が強く、発赤を伴います。咽頭痛、発熱などの全身症状を伴うことがあります。
病巣は約2週間で治癒しますが、周囲に拡大するため全経過は数週間です。
治療
軽症で病巣の少ない場合は外用療法だけで良いですが、通常は内服療法も併用して、伝染の抑制、合併症の予防、治療期間の短縮を図ります。
シャワーを浴び、局所を清潔にするのが治療の基本です。
外用療法
外用薬はナジフロキサシン軟膏、フジシン酸軟膏、テトラサイクリン軟膏などをよく使用します。
軟膏外用後、ガーゼ包帯で覆います。
内服療法
抗生物質は抗菌力が優れ耐性の少ないセフェム系やペネム系を選択します。1日量として、3~4回に分服させる事が多いです。
またペニシリン系やミノサイクリンなども使用します。
湿疹化した場合には痒みを伴うので、抗ヒスタミン剤の内服を併用します。