乾癬 Psoriasis
乾癬(かんせん)とは
浸潤を伴う紅斑と鱗屑(角質層が厚くなり、表皮から剥がれた皮膚)に特徴づけられる慢性炎症性皮膚病です。被髪頭部、四肢伸側、腰部などに好発しますが、全身どの部位にも起こりえます。病態的には皮膚の増殖亢進、表皮交代時間の短縮、角化異常です。
乾癬(かんせん)の種類
乾癬にもいくつか種類があります。
- ①
- 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん):90%はこのタイプです。
- ②
- 乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう):尋常性乾癬が全身に及んだものです。
- ③
- 関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん):乾癬の患者に強い関節の炎症や痛みを伴うもの。特徴として、腱付着部、仙腸関節と脊椎、末梢関節の滑膜、の3者に炎症がおきます。
- ④
- 膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん):発熱、悪寒を伴って全身あるいは限局性に紅斑を生じ、その上に無菌性膿疱を多発します。尋常性乾癬との移行や混在を示すことがあります。
- ⑤
- 滴状乾癬(てきじょうかんせん):小児に多く、溶連菌感染後に直径1㎝の皮疹が多発します。一過性のこともありますが、しばしば尋常性乾癬に移行します。
頻度
人口の0.1~0.2%で男性が女性の2倍多いとされています。肥満やメタボリック症候群との関連が指摘されていて、その増加とともに頻度も増加しています。
病因
まだ完全にはわかっていませんが、何らかの遺伝素因のもとに、種々の誘因(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤)により発症します。家族内発症は約5%です。
症状
厚い銀白色の鱗屑に覆われた浸潤性紅斑局面が多発します。頭部、男性の口周り、肘、膝、腰などこすれる場所に出やすいという特徴があります。
軽度痒みを感じることもあります。
治療
病気の性質が慢性であることを考慮して、治療効果や反応と副作用のバランスを見ながら選択していきます。また治療を同時期に組み合わせたり、一つ一つの治療を時期的にずらしたりもします。
① 外用療法
ステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬、またその混合約があります。最終的には皮膚萎縮などステロイドの副作用のないビタミンD3外用薬単独を目指します。
② 内服療法
- エトレチナート:副作用として、口唇粘膜の乾燥、掌蹠の剥離があります。催奇形性があるので、内服後男性は6ヶ月、女性は2年間の避妊が必要です。
- シクロスポリン:長期投与では腎機能障害が危惧されるので、休薬期間を設けながら行います。紫外線療法の併用は避けます。
③ 紫外線療法
週に2~3回の頻度で照射を行います。
- PUVA療法:外用や内服をした後に紫外線を照射します。
- ナローバンドUVB療法:波長が311nm付近の中波長紫外線を照射します。内服や外用は不要です。
④ 生物学的製剤
乾癬の症状を引き起こす体の免疫機能にかかわるサイトカインに直接働きかける注射です。全ての患者に適応する治療でもなく、全ての患者に必ず効果があるとも言い切れません。現在日本では、インフリキシマブ、マダリムマブ、ウステキヌマブ、セクキヌマブの4種類が用いられています。